歩いたら休め

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【機械学習】"Propagation"の訳は「伝播」or「伝搬」?

機械学習の分野で、Propagetionという言葉よく使われますが、人によって「伝播」「伝搬」という二種類の訳語があり、いまいち統一されていません。

Wikipediaの記事でも、Backpropagationは誤差逆伝"播"法、Belief Propagationは確率伝"搬"法とあり、記事によってまちまちです。

バックプロパゲーション - Wikipedia

確率伝搬法 - Wikipedia

 

「伝搬という訳は間違いである」というおっしゃっている方も多く、Propagation単体で辞書を引くと「伝播」とされているため、私自身は「伝播」という言葉を使っていたのですが、きちんとしたテキストでも「伝搬」という語が多く、気になっていました。

こちらのスライドでは「確率伝播法」という語が使われており、更に「伝搬」は誤字だと主張されていますが、

「伝播」は正しくは「でんぱ」と読むが「でんぱん」と誤読されることも多い。「伝搬」は誤読に起因する誤字。

 下のような学術書でも「確率伝搬法」という語が使われていました。

ベイジアンネットワークの統計的推論の数理

ベイジアンネットワークの統計的推論の数理

 

 

というわけで「単に誤字だとバッサリ切り捨ててもいいのか」と思い調べてみました
(といっても検索エンジンでネットサーフィンしてただけですが)

 まず見つけたのがこちらのツイート。「伝搬」は読みが訛った誤字だったらしく、国語辞典にもそのように書かれているそうです。

伝播という用語が使用される分野は多岐にわたる.
  • 電波伝播     (無線工学)
  • 伝播モード    (高周波工学,電磁気学)
  • 誤差逆伝播    (人工神経回路)
  • 文化・言葉の伝播 (社会科学,人文科学)
  • 伝染病の伝播   (医学,農学)
伝搬という誤字が使用されるようになった経緯は次の通りである.
  1. 「伝播」と正しく書かれたものがあった
  2. 「伝播」を文字で見た人が「でんぱん」と誤読した
  3. 「でんぱん」と音声で聞いた人が「伝搬」と誤記した
  4. 「伝播」より読みやすい「伝搬」が広く伝播してしまった...

金田一京助, 他 : "新明解国語辞典 第四版 (小型版)", 三省堂 (1989)

P. 890 より

 

ただ、ややこしいことに「伝搬」という訳語が優勢な分野もあるようです。以下はWikipedia電波伝播の記事より。これは「電波」と「伝播」とが混同しないように、という意味合いもあるように思えます。

なお、日本の電波工学の分野で多くで用いられる電波伝搬(でんぱでんぱん)という用語用字は、電波法ではpropagationに対応する語として伝播ではなく伝搬[1]という表記が用いられていることに起因する表現であり、電波工学の分野においては優勢である。

 ちなみに総務省のような公的な機関でも「電波伝播」という語が使われているようです。

総務省 電波利用ホームページ | 電波伝搬障害防止制度

 

というわけで以上をまとめると、

伝播という言葉が正しいが、伝搬の語のほうが便利な分野もある」ということになるでしょうか。

伝搬」という言葉を「誤読に起因する誤字」とまで邪険にしなくてもいい気がします。…でも、用語が統一されてないと不便なので、機械学習分野では伝播という語に統一してほしいとは思います。

 

伝播」と「伝搬」のどちらが優勢なのか調べてみるのも面白い気がします。テキストマイニングの題材としてどうですか?

どうやら同様の疑問を持っている人は多いようで、Googleのサジェストにも「伝播 伝搬 違い」と表示されます。検索経由で読んでくれている方がいらっしゃれば「私の分野ではこっちが優勢だよ〜」とか「ちょっとツッコミあるよ〜」とかコメントを残していっていただけたら面白い議論になるかもしれません。