友だちに借りパク中の『文化人類学入門』が面白かったです。
印象に残った箇所はいくつかあったのですが、特に第十章の「残された諸問題」に考えさせられる部分が多くありました。
例えば「調査者はどこまで客観的たりうるか?」と題された箇所で、同じ社会やコミュニティを調査していても、調査者自身が持っている考え方によって全く異なる結論が導かれるというもの。
本書ではアメリカのある部族が「中庸を重んじ、争いを好まぬ」のか、「他人の眼と反感をおそれて野心を外に出さない」だけなのか議論が行われた経緯が紹介されています。このように正反対の結論が主張されていたのは、前者を主張する人は「近代文明に批判的(無文字社会に共感的)」で、後者の人は「各人の自由意志と自由行動を最上のもの」とする立場にあるとしています。
また、同じ章の「調査される側の論理」の部分も面白く感じました。そこではジャーナリスト本多勝一氏の問題提起が紹介され、「貧困と不満の状態にある人びとを訪れる文化人類学者は多いのに、論文を書くことのみに集中し、現実の問題を解決しようとしていない」ことを批判しています。
このような調査される側の論理も含めた研究態度として、小西正捷氏の「現地へ留学し、地元の人びととの相互学習することこそがもっともあるべき姿だ」という言葉を引用しています。この際、自分が現地の文化に影響を与えてしまう事実や、プライバシーも大事だよねって話も。
この辺の話は、いわゆる理工系の人にはあまり触れる機会の無い(けど重要な)態度だと思います。破壊実験みたいなことを社会科学ではやっちゃいけませんし。逆に、化学物質や数式・プログラミングの気持ち・都合を考える必要もありませんしね。
@takeshi0406 本格的なものだと竹澤先生の『人類学的思考の歴史』というのもありますが、あれは初学者向けでないかも。
— 開途 (@KaitoSSS_) March 14, 2015
@takeshi0406 こんなのも。 http://t.co/Ey1sDEciTN
— 開途 (@KaitoSSS_) March 14, 2015
あんまり関係ありませんが、好きなバンドのアートワークを手がけているHESOMOGEさんのかっちょええタロットを手に入れたので鏡リュウジさんの本とか読んでます。鏡さんは比較文化の修士課程を修了しているだけあって、どこか相対的な視点を持ってる文章で面白いです。
占いはモテる趣味だってTwitterのリツイートで見ました。
物語の普遍的な構造があれば、それに基づいてプログラミングすれば自動で物語を生成できるんじゃないかと妄想しているので、タロットみたいな象徴的なものは心くすぐられます。単純に、目的の重要性はともかく、いろいろ連想してくのは楽しいです。
もっと関係ありませんが、バーチャルネットアイドルちゆ12歳の本がブックオフで200円だったので買ってきました。電波ソングが好きなので10年前くらいの糞インターネット文化を勉強&DJしながらフィールドワーク(?)中です。
サボってるんじゃありません、参与観察ですよ!
ちゆが200円で売ってたから買った pic.twitter.com/yO32yDX9CU
— 黒めだか (@takeshi0406) 2015, 3月 20