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歩いたら休め

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【本】『文化進化論 - ダーウィン進化論は文化を説明できるか』は理系で社会科学を研究したい人に読んでほしい

本・論文 社会科学

文化進化論 - ダーウィン進化論は文化を説明できるか』という本がすごく刺激的でした。

人間に関する研究と同様、生物に関する研究も多数の関連分野があります。 ところ生物の研究では異文化間の交流ができて研究が積み重なっているのに対し、 人に関する研究は必ずしもそうではありません。

それは、生物の研究は「進化論」という共通理解を使って異分野でも交流できているのに対し、 人に関する研究はその枠組みができあがっていないからです。
(文化を"未開"から"西欧"へ進化するという主張が行われたこともあって、進化論を援用する考え方は廃れてしまっていたようです)

文化進化論:ダーウィン進化論は文化を説明できるか

文化進化論:ダーウィン進化論は文化を説明できるか

諸科学の進化論的アプローチを網羅する

近年、人間行動の進化に対する関心が高まっている。単に遺伝子の影響からのみ進化を説明するのではなく、人間の「文化」についての学習や継承の影響を科学的な手法で検証する分野が成長してきた。本書はこうした諸潮流を、「進化」を軸にして展望する。

内容については、私が説明するより下の記事を読むのがいいと思います。

honz.jp

ameblo.jp

『文明進化論』は、文化の変異を進化論の用語で読み解くことを目指した最新の科学の、おそらく初めての一般向けの解説書である。

文化について先の3条件を検討し、多くの現象が進化と言えるパターンを持つことを示す。

文化は、個人の経験や遺伝的要因に並んで、人間行動を強く規定する。

この20年で進化を数理モデル化する手法や、進化過程を実験的に模倣する手法が発展し、文化が伝承され蓄積される仕組みについて格段に理解が進んできた。

このようなイベントもあるようです。

「文化進化と生物の進化はここが違うよね」という比較もあり、これからあるべき社会科学の姿を(できるだけ平易な言葉で)描き出そうという気概を感じました。

例えば、生物の変異はほとんど無目的だが、人の文化は意図的に適応度を上げようとすることもあることだったり (「ダーウィン的だがネオダーウィニズム的ではない」と表現されていました)、

「ある地域の文化が隣の文化の影響を受け、生物の進化のように系統樹をたどれないこともありえる、 どのような場合に文化の系統を辿れて、どのような場合にそうではないか」みたいな話もありました。 (生物でもウィルスを介して遺伝子が水平伝播することもあるようですが)

私も学生時代、「物理のツールを使って社会現象を研究したい!」と思ってそれなりにがんばっていたのですが、 残念ながらそれほど満足できるものにはなりませんでした。 この本を読んで、人に関する研究を俯瞰できてればちょっとは違ったのかなと思います。

kiito.hatenablog.com

この本には参考文献も多いので、「こんな問題があるんだ!」「じゃあもっと調べていこう」という使い方もできると思います。