Insight x Insideというデータ解析者やマーケッター向けのWEBメディアがあります。海外のマーケティング事例や講演映像の日本語訳、エスノグラフィーなど、マーケティング関連の面白い記事がたくさん載せられています。
ここに『"無限の選択肢"は我々を幸せにするか? - 選択の科学が教えてくれること』という興味深い記事が掲載されていました。
"無限の選択肢"は我々を幸せにするか? - 選択の科学が教えてくれること | Insight x Inside http://t.co/ktPsGAfhzP @insightxinsideさんから
— Insight x Inside (@insightxinside) September 7, 2014
文化や世代によって「選択」に対する考え方が違う、ということが紹介されています。例えば米国人の著者は「自分の信念に基づき選択することが当たり前」だと考えていたのですが、日本に留学した際「(間違った飲み方だと知りつつ)緑茶に砂糖を入れて飲みたい」という選択を阻止されたそうです。
選択に対する双方の根本的な考え方の違いです。米国人の考え方では、お客さんが好みに基づいた分別ある要求をする限り、叶えてもらう権利があります。バーガーキング曰く、「自己流で召し上がれ。」スタバ曰く、「幸せは選択肢にある。」でも、日本人の考えでは、無知な人を護るのは、我らの務め。
また、文化によってはあまりに多い選択肢を嫌っているという話や、
年配の人や東欧の人にとっては、選択の海に投げこまれた恐怖を感じる。また、ロシアで行われた炭酸飲料のインタビューでは、7種のソーダを1つの選択肢として見ており、「どれでもいい、結局どれも炭酸飲料だから」と語る。
— 黒めだか (@takeshi0406) 2014, 9月 9
選択肢があることが幸福に繋がっていない例も紹介されています。
息子の生命維持装置を外すかどうか、米国人は親に、フランス人は医者に選択権がある。選択肢のあった米国の親は「死刑執行に加担した心境」、フランスの親は「息子との時間はたくさんのことを教えてくれた」と語る。
— 黒めだか (@takeshi0406) 2014, 9月 9
機械学習やレコメンド、もっと広くデータ解析の手法、あるいは「何かしらのメディアとして紹介することそのもの」が、ユーザーや自国の文化にとってどういう意味を持つのかなどと考えてみるのも意味のあることだと思います。
例えば、音楽メディアはある意味「このバンド群を聞いていれば間違いないよ」というレコメンドだと思いますが、自分の周りの音楽おたくはよくわからない国の音楽(=選択肢)を探し続けること自体に喜びを感じており、そういうメディアに頼りたがらない人が多い気がします。
今回紹介した記事は、この本の著者が2010年に行った講演が基になっているそうです。
- 作者: シーナ・アイエンガー,櫻井 祐子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/11/12
- メディア: 単行本
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