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【本】『ソーシャルメディアと公共性』感想まとめ

最近読んだ『ソーシャルメディアと公共性』という本が面白かったのですが、インターネット上で誰もブログ等を書いておらず、悲しかったのでおすすめする記事です。

大震災・原発事故やテロリズムなど様々な社会的リスクへの対応が求められる今日,一方でSNSなどのソーシャルメディアが日常のリアリティを変えつつある.世界秩序を揺るがす脱真実の時代がくるのか,新たな公共性と社会関係資本の構築は可能か.第一線の研究者たちが課題に挑む.

ソーシャルメディアと公共性 - 東京大学出版会

学習院大学の教員紹介ページに編者の遠藤薫さんの紹介がありました。本全体を通してこの問題意識で議論されています。

現代、メディアが急激に発展しています。メディアは、コミュニケーションを媒介し、世界を認識する基盤となります。メディアの変化は世界を変えます。

TwitterFacebook、LINE、instagramといった新しいメディアを皆さんも日常的に使っていることでしょう。

1990年代から広く使われるようになったソーシャルメディアは、誰でも自由に発言し、膨大な情報にアクセスできることから、表現の自由を最大限に保証し、少数者の意見にも耳を傾ける、民主主義のプラットフォームになると期待されました。

マンガやアニメ、観光などの日本文化も、ソーシャルメディアを媒介にして世界への発信力を高めています。

しかし、ソーシャルメディアが普及するにつれ、副作用も目立つようになっています。

一部の過激な発言が、ネガティブな感情と共に、増殖・感染し、あたかも多くの人に共有される意見であるかのように拡散します。それが政治や選挙にも影響し、偏狭なナショナリズムや他者に対する不寛容が秩序を揺るがしています。テロや国際対立を助長しているケースさえあります。

問題が山積するなか、メディアの発達はさらに続きます。ロボットや人工知能が、私たちの日常に組込まれつつあります。社会はこれからどのように変化していくのでしょう? 私たちはメディアをうまく使いこなすことができるのでしょうか?

WEB企業のプログラマーである私も、「ITやソーシャルメディアが無ければ知り合えなかった友達ができたことがある」一方で「検索サイトやFacebookフェイクニュースが多いけど大丈夫なのか」、「自分自身も技術・科学のニュースで情報をどうやって取捨選択すればいいか分からない」「一昔前より裏付けをしっかり探さなきゃいけなくなった」と感じているのですが、「post-truth」というキーワードで議論されていて興味深かったです。

また、『偶然の科学』でワッツが書いていたような、SNSのコミュニティ分析もあり、個人的にネットワーク科学を勉強していた時期があったので懐かしくなりました。

「細かいコミュニティに分断されていて、そこをつなぐ橋は作れるのか」という話は、落合陽一さんの本に書いていたような「ローカルなコミュニティで自分らしさを発揮せよ」「そこからグローバルに持っていってもいい」みたいな話を思い出しました。あと『分断』というキーワードはポール・グレアムのエッセイで始めて見たのですが、ちゃんとした社会科学の文脈で話されていたのを見たのは始めてです。