社会シミュレーション勉強会(SSC輪読会)の第5回目を開催しました。
【勉強会】SSC輪読会 Vol.1を開催しました! - 歩いたら休め
【勉強会】SSC輪読会 Vol.2を開催しました! - 歩いたら休め
今回は@KaitoSSS_ さんが第11章『Combining Mathematical and Simulation Approaches to Understand the Dynamics of Computer Models』を発表されました(ありがとうございます)。いつも通り話が脱線しまくっていたのですが、印象に残った話がいくつかあったので自分のメモも兼ねて残しておこうと思います。
当日の様子は、@satzzzさんのブログでも言及されています。 satzz.hatenablog.com
ゲーミングAIについて
「株価を再現するには、エージェントのメンタルモデルを使ったモデル(例えばMinority Game)でシミュレートした株価と、実際の株価データを学習した機械学習器に生成された株価と、どっちが良いものなのか?多分機械学習のほうが良い精度になりやすいけど、前者のほうがストーリーがあって理解しやすいよね」みたいな話になったときに出てきました。
ゲーミングAIの世界では、
- 機械学習で対戦ゲームのAIを作ると強いがチューニングしにくい(操作可能なモデルを作りづらい)
- 人の手で変数を設定したもののほうが、強さの演出やチューニングがしやすい
ということが言われているそうです。攻略される余地があるのある強さのほうが、ゲームとしては楽しいということです。
社会的な吸収状態(?)
マルコフ過程についての章で、「すごい孤立して少人数の社会では吸収状態みたいなことが実際にありえるのでは?」という話が出てきました。 実際、タスマニアアボリジニは5万年前にオーストラリア本土から切り離されて以降、文化の後退がどんどん下がっていったそうです。 例えばこんな感じに後退したとか。
- 防寒着がなくなる
- 釣り針、弓矢なくなる
Joseph Henrichの論文によると(多分これ?)、文化進化は以下の2つの要素で発生し、人口がある程度以下になると悪いエラーだけが蓄積し、文化が後退すると述べられているようです。
- 文化の継承
- だいたい悪い方向に、たまに良い方向に継承のエラーが生じる
ただし、良い方向のエラーも集団内にすぐに広まることを仮定しているようです。
また似たモデルとして、投票モデルで良い解を誰か一つ選ぶと全部に伝わるモデルがあるらしく、GA(Genetic Algorithm)にエリート選択のモデルがあるという風にも聞きました。また、文化が進歩する方向に進んでも、実際は分業が発生し、人間は環境自体をいじっちゃうからもっとややこしいよね、みたいな話も出ました。
社会の階層化を 実際の人口>食物の収量で支えられる人口 で説明
P.Kirchという方が、ある島の人口が、収穫できる食物の収量を上回ると王権や国家ができ、島の可耕地の面積から国家が生まれる時期を説明できるというようなことを唱えているそうです(今ちょっと探して該当しそうな論文が見つからないのですが…)。
ソースはこちらの論文だそうです。Circumscription theoryと呼ばれています。
- タロイモの収量はシマの可耕地の面積に依存
- 島に入植している時期はある程度分かる
- 人口増加率は一定だと仮定
の3つを仮定して説明してるらしいです。
効率的市場仮説(EMH)
ちょっと面倒になってきたのでメモをそのまま貼っときます。経済物理でEMHを説明している本を読めばわかるとか。「普通のファイナンスの本を読んだ方が良いと思う」とアドバイスを頂きました。
効率的市場仮説(EMH) 弱いEMH→過去の株価で未来の株価を予測できない
準強的→ニュースも含めて解析しても予測できない
強い効率的市場仮説→インサイダー情報も含めても利益が得られない
情報があったら利用されていて、価値がなくなっている
最初にファーマーが提案したのはどれ?
株式会社の発生
株式市場
お金がない人が事業可能に
それ以前は合同会社
資本主義
*
債権による金融
利子つけて貸し付ける→ユダヤ人
キリスト教・イスラム教徒は宗教上の理由でできなかった
(ベニスの商人)
*
株式会社は永続性を持つようになったか紫色の本『株式会社』
昔は航海が終わると解散していた(元々は1回の航海のための仕組み)
多分オランダ東インド会社→永続性をもつようになった
憶測だが、植民地がらみ
ある本には解散するときに特別許可が欲しかった
鉄道会社でさらに発展?
この本の話をしていました
- 作者: ジョン・ミクルスウェイト,エイドリアン・ウールドリッジ,高尾義明,日置弘一郎,鈴木泰雄
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「王の特別許可で株式会社を設立できるが これを解散せず継続したかったことが株式会社の永続性に繋がったのではないか」「鉄道以外にも、ドイツの保険組合についての説が載ってあった」ということだそうです。
@takeshi0406 斜線で消してるw 株式会社自体が特別許可で、航海の後にこれを解散せずに維持したかったので永続性に繋がった的なことが書いてあったとおもふよ。
— ZAORIKU・M (@zaoriku0) August 12, 2015
元は違法
利子を取る、宗教的
南海泡沫事件→世界初のバブル
産業革命
設備投資が必要→復活!
歴史の必然的に出てきたものではない?
*
日本の株仲間
コメの札差
ギルドっぽい?
日本の江戸時代の先物取引
日本の江戸時代に先物取引があったという話があり、「真の意味の先物取引なのか?ただの先渡しじゃないのか?」みたいなことも話していました。
先物市場もあった
先渡り→今払ってあとで払う
先物→変動分も含めてリスク評価
真の意味の先物?
江戸時代の人は信用貨幣は理解していた
ただ、コメが通貨になる謎世界(米本位制?)
そうだ「先物」について調べるか…単なる為替取引は先物とは言わんよ、と言う話だとは思うけど
— 不限春眠不覚暁 (@zampona_x31) August 9, 2015
"先渡し契約の無い公認の近代的な商品先物取引"
"実物の米の出し入れは行わず、先物取引の期間中に発生した米価の変動分の差金を授受することで取引が終了した。"
ホンモノっぽい。少なくとも単なる為替(信用取引)ではない。
— 不限春眠不覚暁 (@zampona_x31) August 9, 2015
米問屋にとっては先物で売ってその価格で実物米を買えれば損益±0でリスクがないと言うことか?現物が必要なく期日の差金決済だけで取引が完結すると言うことは、現金だけ持ってれば商品や販路のないものにも市場に参加する機会があるってことかな?
— 不限春眠不覚暁 (@zampona_x31) August 9, 2015
宋の時代の中国は新自由主義?
『中国化する日本』
宋の時代 頭のいい人が出世、経済を自由化→今生きている世界 新自由主義
閉鎖的な市場
しかし、日本だけは中国化を食い止めていた(封建制)
日本は明治維新で中国(新自由主義)化
中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史 (文春文庫)
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ちなみに日中戦争では、日本が封建制の「大名の首を取れば勝ち」という感覚で戦っていたところ、ゲリラ戦を仕掛けられ&アメリカを引きこまれて大敗したという話も聞きました。
群知能と集団になるとアホになる知能
セイウチは、1匹でいるときにシロクマに襲われても勝てるのに、集団時に襲われるとやられるという話もされていました。 ちょっと多元的無知っぽさを感じます。
理系のための人文社会学勉強会
@KaitoSSS_ さんが「理系のための人文社会学の勉強会やりたい」「モノを作ってインパクトを与えてる人が思想を知らないのは良くない」と言ってました。放送大学のテキストが良さそうと言ってたのですが、どれかわかりせん(あとで聞こう)。