『ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法』を読んでみたところ、とても面白かったのでおすすめしますという記事です。
そもそも私がこの本を読んだのは、
が主な理由です。
キヤノンの26年間居て判ったことですが、現代数学は純粋数学者が想像しているよりずっと役に立つのです。最新の技術は十分抽象的なので、最新の技術には最新の現代数学の言葉が必要なのです。
— 松谷茂樹@ものづくりの数学のすすめ (@mono_dukuri_no) 2017年2月12日
企業の現場に居ながら、趣味で純粋数学の研究をして、代数曲線の論文を書いてきましたが、企業の現場を知っている純粋数学の研究者というのが少なすぎる感じがします。 企業の現場も純粋数学もとても楽しいのです!!!
— 松谷茂樹@ものづくりの数学のすすめ (@mono_dukuri_no) 2017年2月12日
特に「ニュートンは議論は現代の物理学者でも難解だが、ライプニッツは運動という現象をシンプルに記述できる微分・積分記号を発明した。これによって後世の研究者が、明快に議論できるようになった。企業の研究者はライプニッツを目指そう」という提言が印象的でした。
さらに、「微分という記号や概念を使わずに、放物運動を記述するのはとても困難だ」とまで突っ込んで書かれていました。(私はプログラマーなので、ここでDDD(ドメイン駆動設計)を連想しました。)
また「数学者は論理だけで話を進めがちだが、グラフ化して問題のおおまかな傾向を知ることも大事。それぞれの軸が加算(+)される変数だった場合は線型軸を使うし、乗算(*)される変数だったときは対数軸を使うはずだ」というようなことが書かれていて、ハッとさせられました。今までなんとなく軸を使い分けていたのですが、代数学的な発想で考えると、「この変数にとって本質的な操作は何だ」というようなことまで掴めます。
『SOFT SKILLS』的な要素もあり、例えば他にも長いスパン・短いスパンの勉強の方法なども参考になりました。ITエンジニア向けの本だと、どうしても短いスパンの勉強が強調されてしまいがちなので。
素晴らしい本なのですが、人によって刺さる部分は違う気がします。本屋で見かけたときはちょっと立ち読みしてみてください。
ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法
- 作者: 松谷茂樹
- 出版社/メーカー: 現代数学社
- 発売日: 2017/03/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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余談ですが、最近は『集合・位相入門』を読んで集合論を勉強しています。今のところ「型や合成関数への感覚が深まって、コードがちょっときれいになった気がする」くらいの効果しか現れていませんが…。
また、このペースでいくと、線型代数まで学び直すのに2年くらいかかるんじゃないかと思ってます😩
- 作者: 松坂和夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1968/06/10
- メディア: 単行本
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以前も書いたとおり、こちらの記事に従って、少なくとも大学の学部生レベルまでは数学の能力を付けてみようと思います。
また、『ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法』と同じ著者の前著も買ってみました。
- 作者: 松谷茂樹
- 出版社/メーカー: 現代数学社
- 発売日: 2013/11
- メディア: 単行本
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まだ全然読めていませんが、第1章には「数学は言葉」であり、非数学な研究は「言葉にならないものを言葉にしてゆく科学の話」で、数学は「言葉になった後の科学の話」で、発想が全く異なるということが書かれていました。「ルールを守ってルール内のゲームを楽しむ」「定義を信じて進むうちにその定義の自然さを体感する」ということが書かれていました。
最近、ようやくそれが分かってきた気がします(が、数学を学んでも即座に役に立つ分野ではないので、目先で何を勉強すればいいのかということも同時に悩んでいます)。