先日、市役所に書類を取りに行くついでに寄ったブックオフで、気になるタイトルの本を買いました。
それが『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』です。
フリーカルチャーをつくるためのガイドブック クリエイティブ・コモンズによる創造の循環
- 作者: ドミニク・チェン
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2012/05/25
- メディア: 単行本
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本書は、「あらゆる創造的活動は、先行して存在する文化物を継承しながら行なわれる」というフリーカルチャーの本質に迫り、「継承」と「リスペクト」が生み出す「創造の共有地」という未来を描き出します。「わたしたち個々人が、これからの文化の形成にどのように参加していけるのか?」という道筋を明らかにして、未来の創造と表現、ビジネスと社会活動のためのヒントとなる1冊です。
クリエイティブ・コモンズをデザインしたローレンス・レッシグのことは(友だちが話していて)一応知ってはいて、 「国家は法律や慣習で構成されたOSのようなものだ」みたいなことを言っていることは知っていました。 (又聞きなので、正確な表現ではないです)
クリエイティブ・コモンズが国家間の法律の差異を吸収するために、複数の層からなる構造をしているそうです。
「リーガルコード (Legal Code)」の層は、法の専門家(弁護士や裁判官など)が法的に解釈することのできる法律用語で記述された文書になっています。 「一般人 (Human Readable)」は、法の専門用語に慣れていない一般人が読めるように、可能な限りライセンス内容を伝える文章である「コモンズ証 (Commons Deed)」を指しています。
なんとなく、VM(バーチャルマシン)でOS間の差異を吸収し、その上で動くプログラミング言語で記述しているような感覚を受けます。 こんな発想というか問題の解き方してる人いるんですね。知ってる人からすると「今更かよ」っていわれそうですが。
いい加減、彼の著作を読んでみなきゃなと思っています。
719夜『コモンズ』ローレンス・レッシグ|松岡正剛の千夜千冊
具体的なサービスの話も結構充実していて、 例えば、「自分の履歴書をGithubで公開したよ」というエントリーがうちの会社のエンジニアの中でちょっと話題になっていましたが、
これと似たような発想で、イラストレーターやグラフィックデザイナーが自分のポートフォリオを公開する「ロフトワーク」というWebサービスがあるそうです。いわれてみれば、アート関連の「作品を見れば分かる」ものはこういうサービスと相性が良さそうだし、類似のサービスもいくつかあるっぽいです。
もう一つ印象に残った記述は、あとがきにある次の文章です。
他方で、フリーカルチャーがもたらすべき(まだもたらしていない)重要な変革だと個人的に考えていることがあります。 それは、私たちの文化の中で巨大な重力を持つ既得権益とは関係のないところで、新たな創作物の秩序が持続可能な形で立ち上がることです。
ちょっと関係のない話になりますが、音楽やっている人もやっぱり「技術との付き合い方」で悩んでいるらしい、というのは感じています。
この間知り合いのインディーズバンドマン(活動が長く、そこのコミュニティを支えている立場の人)と、「自分たちの世代からすると、ライブに来てほしいし、そっちのほうがリアルだと感じる」「今の時代はファンの定義があいまいで、CDを買っていればファンなのか、ライブに来ればファンなのか」みたいな話や、「バンドのWebでの告知をどうすればいいのか」というようなとりとめのない話をしました。
技術が発展するに従って、その分野やジャンルに合った、コミュニティや技術のデザインを考える必要があるのかもしれません。めっちゃふわっとした感じにして、特に結論もないまま終わります。