というバズりそうなタイトルですが、「人工知能」とか「機械学習」のことはあまり書きません。 私も詳しくないので。
そういうのを期待している人は、こっちを読みましょう。
ある会のとき、上司が同僚2人の成果について「人工知能」という言葉が使われて説明していました。本当は、数学好きな方が使っているものは「数理最適化」で、分析が得意で業界ニュースをひたすら追っている方が使っているものは「統計学」の「重回帰」で、「知能」と呼べる(ぶべき)ものでは無いよなと私は思っていました。
(ただし、その上司も「本人が人工知能だと思っているかは別だけど」という注釈を付けて、よく聞かれる言葉で説明するために、敢えて「人工知能」という言葉を使っているようでした。)
同じようなことが何度かあり、そこでいろいろモヤモヤしていたのですが、根本的に、ビジネス側の人にとっては「(実装者にとって重要な)何を使って/どうやって解決するか」は重要ではなく、「何を解決するか」のほうを重視しているだからだろうと思うようになりました。
一方、音韻だけではなく、概念も言語によって区切られている。たとえば、「イヌ」という言葉の概念は、「イヌ」以外のすべての概念(ネコ、ネズミ、太陽、工場、川、地球……)との差異で存立している。このように、人間は、「シーニュ」という「概念の単位」によって、現実世界を切り分けているのである。そして、その切り分け方は、普遍的ではない。たとえば、日本語では虹の色を「七色」に切り分けているが、それを「三色」に切り分ける言語もある。
かっこつけてソシュールを出しときましたが、実装者でなければ、裏で動いている仕組みが重回帰でもディープラーニングでも変わらないわけです。しかし、私も会計と財務と経理の違いが分かっておらず、それらは抽象化して他の部署に任せているので同じようなものです。
要するに、「数値計算を使った難しい技術が発達しているらしい」ということは分かっていて、「それらを包括して任せられる人が欲しい」と考えているようです。ただし、「人工知能」という言葉は「何を解決するか」という部分も曖昧なので、そっちの視点でも充分な言葉じゃないなと思ってしまいますが…。
また、最近飲み会で他部署の後輩と「インフラ苦手なんでどう勉強したらいいのか分からないんですよ」という話を少ししていたのですが、 よくよく聞くと「データベースやログ収集・解析の仕組み」のことを「インフラ」と言っていたので、ちょっとビックリしてしまいました。
私はデータ収集のプログラムを作っていて、私はそういう部分までアプリケーション側の(DevOpsの考え方が普及してきた今、アプリケーション/インフラの対比も既に古臭いかもしれませんが)責務だと考えていたのですが、 彼の触っている会社のメイン事業のコードベースが巨大すぎるので、必要以上に難しくブラックボックスに見えてしまっているのかもしれません。
最近ローレンス・レッシグの本を読んでいて、「アーキテクチャによる規制(要するに、ユーザーに行動を取りやすい/取りづらい仕組みを作ってふるまいを制御すること)」という考え方が書かれていたのですが、同じような現象が古いコードや巨大なシステムのせいで意図せず起こっているのかもしれません。
- 作者: ローレンス・レッシグ,Lawrence Lessig,山形浩生
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2007/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 5人 クリック: 119回
- この商品を含むブログ (86件) を見る
結局よくわからない記事になってしまいましたが、
- 相手の使っている言葉が、何を差しているのか(どの範囲を差しているのか)
- それは多分、立場とか経歴とか、触れてきたアーキテクチャ(?)によって変わるから、それを確認してちゃんと考えたほうがいい
ってことを考えています。