度々見かけるので読んでみました。
昨日も改めて話したけど、従来型の手法そのものが問題を引き起こしているメカニズムを理解せずして、現代にあった取り組みは不可能なんだよね。他人事としてではなく、自らの実践のための失敗からの学習が大切。丨地域再生の失敗学 (光文社新書) https://t.co/jlSzxpeSpT
— 木下斉/Hitoshi Kinoshita (@shoutengai) September 8, 2016
- 作者: 飯田泰之,木下斉,川崎一泰,入山章栄,林直樹,熊谷俊人
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/04/19
- メディア: 新書
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話の内容としては、こちらのブログを読んでみてください。
野中郁次郎さんに触れている箇所
いわゆる『地方創生』の文脈以外ですが、野中郁次郎さんの話が度々出てきます。『失敗の本質』や『知識創造企業』などの本の著者です。
www.slideshare.net
第三章では、「シリコンバレーではカフェで起業家同士が相互作用する仕組みができていて、地方でもそれと似た仕組みを作る必要がある」という趣旨で触れられています。
これはたとえば、「リソース・ベースト・ビュー」という理論で説明できます。これは「企業や人が競争優位に立つには、価値があり、希少で、模倣が必要な資源をもっていないといけない」という考え方です。これからのビジネスでもっとも重要な資源は、いうまでもなく知識と情報です。『失敗の本質』でも広く知られる一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生は、知識には「形式知」と、言語化できない「暗黙知」があり、この二つの知を相互作用させることがこれからの経営資源になるとおっしゃてています。すなわち、そのような顔を合わせることでしかつかめない「雰囲気」などに含まれる情報・暗黙知が重視されるのです。
第四章でも触れられています。
飯田 政策立案において次善策やコンティンジェンシープラン(不測の事態でのリスクを最小限に抑えた計画)の検討は必要不可欠なはずです。しかし、日本では「成功したらAを、失敗したらBを、想定外の事態の場合は……」と枝分かれになったプランをつくると、あまりいい顔をされませんよね。旧日本軍の作戦面での愚かさを描いた『失敗の本質』の共著者である野中郁次郎氏が経営学者であったことは、非常に示唆的です。軍隊も日本の組織も「日本的な思考」という点でlk腰痛していることを示していると思います。
林 「そんな弱腰でどうするんだ!」と。
世界はフラット化しなかった
第三章の早稲田大学の入山章栄教授の講義も面白く感じました。
しかし、ほんの一〇年前はまるで逆の主張が流行していたことを覚えていらっしゃる方も少なくないでしょう。その典型例が、トーマス・フリードマンというジャーナリストが書いた『フラット化する世界』(日本経済新聞社、二〇〇五年。原著は二〇〇五年刊行)です。インターネットの普及や、後進国とみなされていた国々の急速な経済発展により、世界中にモノ、ヒト、カネ、情報がまんべんなく行き渡るようになり、世界は均等化していくというのがこの本の主張で、大変なベストセラーになりました。
フラット化とは全く逆の主張をしているのが、都市経済学者のリチャード・フロリダです。彼は脱工業化したアメリカの都市においては労働者の三割もあたる「クリエイティブ・クラス」がイノベーションを生み出し、クリエイティブ・クラスが集積する都市とそうでない都市で明暗が分かれると主張しています。フロリダの議論については、当初実証性に乏しいという批判が中心でしたが、近年の実感、そしてファクトとしても実際にそうなりつつあるというのは多くの都市経済学者・経営学者の同意するところではないかと思います。
- 作者: トーマスフリードマン,伏見威蕃
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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- 作者: リチャード・フロリダ,井口典夫
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それに対して、先のリチャード・フロリダ教授は、「世界中の経済活動、特に知的活動や起業活動などは、特定の都市など狭い地域への集中が進んでいる。 すなわち世界はむしろ『スパイキー化』(ギザギザしている、という意味)しつつある」と主張しています。
私もこの意見に賛成ですし、多くの経営学者や経済地理学者も賛成なのではないでしょうか。そして、私はさらにこの傾向が加速すると思っています。なぜなら、インターネットで確かに情報は普及するのですが、逆に言えば、そのような情報は誰でも手に入れられるので、「価値がなくなる」からです。
その他
あといろいろメモ。