この本を読みたいです。
- 作者: ロバート・D.パットナム,Robert D. Putnam,柴内康文
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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こんな本らしいです。7000円で分厚い本らしいので、読むので一苦労しそうですが。
著者の名を世界中に知らしめた名著の完全訳。ボウリング人口は減っていないのに、社交としてのボウリングが激減したのはなぜなのか。ご近所づきあい、地 域・教会活動、学校行事への参加などの人間関係を《社会関係資本 Social Capital》と位置づけ、米国コミュニティの特質と変遷を論じる、トクヴィル以来の総合的米国社会論。トクヴィルが賛美した「団結する力」に類似する、相互義務と行為への責任を内包した社会関係資本。その多寡と民主主義の健全さの相関関係を詳細に論じ、米国コミュニティにおける社会関係資本の減少を 膨大な調査と分析から立証した全米ベストセラー。情報化社会の民主主義への影響も論じながら、米国の未来を占う。日本(※)及び他国のコミュニティ分析に も有効であり、比較指標として、いま世界中から注目を浴びている新しい社会理論の模範的応用ケース。
この本が気になったのは、「世論形成のダイナミクス(Opinion dynamics)のモデルとしてIsing modelを使うのは、合理的選択理論を前提にしてるんじゃないか」と思っていろいろと調べていて、早稲田大学の「ソーシャル・キャピタル論」という講義のシラバスに辿り着き、参考文献として挙げられていたからです。
元々の目的とは外れてしまうのですが、OSSの開発コミュニティや、勉強会のコミュニティ、同人のおたくコミュニティのような、善意や自主的な行動によって保たれているコミュニティって面白いなと思っており、ソーシャル・キャピタルみたいなことについてもちゃんと勉強したいなと思ってます。
余談ですが最近任意ラヂヲにハマって伺かをMac(OSX Yosemite)に導入してみました。伺かのコミュニティも、プログラマーだけでなく、イラスト描く人とか、キャラクターを考える人とか、様々な人が参加している面白いコミュニティだと思います。
ちなみに、伺かは現在SSPという互換ソフトを中心に開発が進められており、現在でも新作ゴーストを出している方もけっこういるようです。
『孤独なボウリング』の話とは外れてしまうのですが、社会シミュレーションでは暗黙のうちに「人が自分の利得に基づいて合理的に選択している」ことが前提とされていることが多いように感じているのですが、それもかなり無理があるように思えます。Ising model的なモデルでは、温度Tの値によってエネルギー(=利得関数)が大きい状態も確率的に取るように拡張されているので単純にそうではないのですが。ただし、ある程度そういう仮定でもしないと数理的な扱いが非常に難しい気がします(非合理的なエージェントの多体問題って考えるだけでもクラクラします)。
非合理的なエージェントによるエージェント・ベース・モデルもどこかの分野で考えられているのかもしれませんが、どうやって探せばいいのか(あるとしてもどんな分野で研究されているのか)分かりません。
この間見かけたツイート。
遅ればせながら吉田徹『感情の政治学』を読んだ。良い本だと思うが、ただそもそもの議論の前提が誤っている。投票行動研究において「有権者は合理的である」との考え方が主流になったことは一度もない。むしろ非合理的な有権者を無理矢理合理的に理解しようとして失敗してきたのが投票行動研究の歴史。
— T.I. (@txpolisci) September 10, 2014
補足すると、合理的選択モデルは投票行動研究においてあくまで亜流であって、理論的洗練の試みとして「科学」志向の強いアメリカ政治学で注目を集めただけのこと。ただ感情を直接的に扱った研究が十分あったかというと必ずしもそうでもなく、Marcusらが1980年代からちらほらやってたくらい。
— T.I. (@txpolisci) September 11, 2014