歩いたら休め

なんでこんな模様をしているのですか?

【書評】insight(インサイト)を読んで、自己認識おばけから身を守ろう

すごく優秀で論理的な考え方をする人でも、自己認識(自己評価)はとんでもなくて「あいつは俺のこと嫌いだから」とか「あの人は不勉強だから」みたいな雑なレッテルを貼っていて、他の人が客観的に見るとその人のそういう態度に戸惑っているだけということ、私の周りではたまに見かけます。逆に異様に自己評価が低くて他人を羨んでいる割に、「いやお前なんも努力も工夫もしてないじゃん…」って人もいます。

自分自身がそうなってしまう場合もあって、それを気づくことはかなり難しいです。「トイレットペーパーの長い切れ端を靴の裏にくっつけたまま」、自分だけが気づかずに過ごしてしまう場合もあります。

そういう人と付き合って消耗するのも、自分自身がそうなって孤立していくのももううんざり。そういう話をしていたら友達から『insight』という本を教えてもらって、ちょうどいい内容だったので紹介します。

insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力

insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力

はじめに

このブログに内容がきれいにまとまっているので読んでください。

www.il-magnifico.com

また、第一章はnoteで無料公開されています。

eijionline.com

『insight』の第1章(後半)を全文公開します。|英治出版オンライン

メモ

以下は自分用のメモです。

「内省をしている人ほど自己認識ができていない」という話は意外だった(第5章)

吊り橋効果の話。そのため自分自身について「絶対的な真実を求めるべきでない」と書いてある。

大切なのは、人がなぜと問うとき、つまり、自分の思考、感情、行動の原因を検証するとき、一番簡単でもっともらしい答えを探してしまうものだという点だ。でも悲しいかな、いったん答えを見つけると、たいていそこで他の選択肢を見ることを止めてしまうー自分で見つけた答えが正しいか間違っているかを確認する方法など持っていないのに。ときに、これは自分が信じている考えを裏付ける理由をでっち上げてしまう「確証バイアス」が原因となるーそして答えは自分が認識する自己像を反映したものであるため、それを真実だと受け入れてしまう。

内省の方法が重要で、自分自身に対しては「なぜ?」より「何?」と問うべきである。

なぜと問うと、人は被害者のメンタリティになってしまうんです。だから永遠にセラピーへ通うことになる。心の平穏が乱されたとき、わたしは「何が起こってる?」と自分に声をかけます。「自分は何を感じてる?」。「自分のなかでどんな会話が繰り広げられてる?」。「どんな風にすれば、この状況を別の観点から眺められる?」。「よりよく対応するためには何ができる?」

「反芻」は破壊的である。

こうして自分の恐怖や、欠点や、不安にひたすらにこだわる状態には名前が付いている。それは「反芻」と呼ばれ、それは内省の双子の悪魔だ。お分かりかもしれないが、反芻は精神的な負担となるだけでなく、インサイトへの大きな障壁にもなる。そしてマルシアが知ったように、一度この穴に落ちると、そこから這い上がるのは大変だ。反芻を止められないという反芻をしてしまうことさえある!

反芻を止めるためには、「周りはこちらが思っているほど気にしていない」と思い直すことや、「『うまくやる』ではなく『うまく学ぶ』というマインドセットを持つこと(ここから学べることがあるかもしれないと思う)」が大事である。あとは何かを決断した後の反芻は「思考停止すること」も対応策になる。

(この辺から6章)自分の良いことも、複数の角度から見ることは、インサイトと成功を最大化する助けになる。

あるユニコーンは、夫と意見が食い違ったとき、精神的に自分自身から距離を置いて、その状況を「見る」というー怒りっぽい配偶者になるのではなく、観察者になるのだ(中略)交渉術の専門家ウィリアム・ユーリーは、「バルコニーから見下ろす」と見事な比喩で表現しているが、言い方はどうあれ、この種のリフレーミングは、極めて重要なものになり得る。

また、ライフストーリー全体を振り返るのもいいかも。

ライフストーリーのアプローチは、自分を振り返って、過去の自分の総和が、いかに自分を形作ってきたかを知るのに役立つ。

(この辺から7章)嫌なフィードバックを進んで他人にする人は少ない。また、自己認識は唯一の答えがあるものではなく、鏡というよりプリズムだと考えたほうがいい。

takei.anonyment.com

マム効果と呼ばれ、CEOとかはこれで困る。360度評価は有効だが、有効に機能するためにはいくつか条件がある。

どの行動に対するフィードバックか分からなければ、より良い選択をするための力を発揮することができない。

相互信頼することは重要だが、普段からよく目にしていること。

自分がフィードバックをもらいたい行動を相手が十分目にしていること、そして理想像がどのようなものかハッキリ分かっていることが必要だ。

あとは書かれていたのはこれ。

愛のある批判者を見つける三番目にして最後の要素は、こちらに対して残酷なまでに正直になる意志と能力があるかどうかだ。それを測る一番のものさしは、相手がこちらに厳しい真実を告げてくれたことがあるかどうかだ。

「愛のある批判者」を見つけたら、仮説検証のプロセスとして質問するのがいい。

一般に、一度には一つか二つの仮説だけに絞るのが得策だ。多くの物事と同じように、一度にたくさんのことをやろうとしすぎると、すぐにキャパシティを超えて、防衛的になる。

(この辺から第10章)思い込みにとらわれた人にうまくフィードバックしていく(もしくは防衛する)方法。3パターンで考えるといい。

  • 無駄骨タイプ
  • 分かっているが気にしないタイプ
  • 誘導可能タイプ

無駄骨タイプは「自分こそ正しいのだという、怒りの混じった、揺るぎなき熱い気持ちで思い込みにとらわれている。自分の考え以外の選択肢を考えられない」タイプで、こちらから相手にインサイトを与えることはできない。ただ、自分のリアクションを制御しながら、自分やチームに対する影響をより良く理解しようと取り組むことはできる。

あなたの職場のイヤな奴

あなたの職場のイヤな奴

「分かっているが気にしない」タイプは、自分の非生産的な行動が自分の欲しいものを手に入れるのに役立つと心から信じている。ラフトラックという方法(バラエティ番組で笑えるものだと思いこむ)が役に立つ場合もある。ただ、縁を切るのが最善の選択肢になる場合もある。

「誘導可能」なタイプが他二つのどちらかといえば救いのないタイプと違うのは、このタイプの人びとが心からよりよい自分を目指している点だ。そのために自分のアプローチを変える必要があることを知らないだけなのだ。