最近はひたすら修論を書いていた…と言いたいのですが、物書きに飽きて本を読んでいる時間も長かったです。
最初はコレ。最近世間を賑わせているISISやダーイッシュと呼ばれるテロ組織(イスラム国を自称するアレ)の話。超面白いです。
彼らが「オレンジ色の囚人服」などのモチーフを利用しつつ、残虐である一方演出され尽くした映像を使って、インターネットを介して共鳴者を探す戦略が興味深かったです。「共鳴者や敵対者を(宗教的な)物語に引き込む」方法、つまりマーケティングや組織運営の視点から、参考にできることも多いように思います(彼らはその力を最悪な方向に使ってますが)。
自らの理論を『グローバル・イスラーム抵抗への呼びかけ』として著し、共鳴者の自発的な活動(ローンウルフ型の自爆テロ)を促すとともに組織を分散化して対テロ戦争の追及を逃れようとするって天才かよ
— 黒めだか (@takeshi0406) February 1, 2015
テロ組織の「演出」で意のままに操られないために、私たち一人ひとりが学ばないといけないと感じています。
イスラム国とかの例を見ても宗教学や歴史学や倫理学は明らかに「役に立つ」わけですがそれでも文系が役に立たないと主張なされるのであれば「役に立つ」という述語の内容について問いただすしかない
— けんつ (@kentz1) January 26, 2015
緊急インタビューを行ないました|日本人人質事件に寄せて――「日本人の心の内」こそ、彼らの標的だ 『イスラーム国の衝撃』 (池内恵 著)|本の話WEB http://t.co/KRYMHfWSZH #イスラーム #イスラム #イスラム国
— 本の話 WEB (@hon_web) January 23, 2015
次はコレ。 ブックオフでこの本を買ってみました。
目からウロコの文化人類学入門―人間探検ガイドブック (MINERVA TEXT LIBRARY)
- 作者: 斗鬼正一
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 9回
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発想が違う分野を知ると刺激が多いです。(私のような)いわゆる理工系の人は、微分方程式や確率の計算を通して、「正しく問題を解く」ことに重点しますが、文化人類学はむしろ「誰も問題に思わなかったことを学問の俎上に載せる」ことを重視しているように感じました。
例えば社会調査をする際、理工系出身の人間は「サンプル数は足りているだろうか」「有意なのだろうか」みたいなことを気にします(こういう調査は詳しくないので多分です)。一方で文化人類学者は「アンケートも対面で行い、脱線する話も大歓迎」みたいな態度で、むしろそのフィードバックを受けて「アンケート項目が足りてないんじゃないか」「(研究者自身が持つ文化との)違いを見つけた!」みたいなことで喜ぶ人種なようです。
「日本は四季だけど、ナントカっていう民族には9つの季節がある」みたいな話で、文化や規範を相対化するような発想が多くて面白い
— 黒めだか (@takeshi0406) February 12, 2015
時折「この説明って妥当なの?」みたいに感じる箇所もあったのですが、人間や社会について研究するとしたら、そもそも文化を比較して相対化しないと不可能なように思います。相対化して問題提起した後は(可能であれば)統計や数理モデルによって検証していく必要はありそうですけど。
4月から某社でITエンジニアとして働くのですが、↑のような視点は持っておきたいと思います。例えばこんな話をよく見かけますが、
このサイトだけど、プログラム能力が高い人が何を嫌がって、何を重視しているかの一例になるから、採用担当以外にも社内環境を構築している人には是非見てほしい。もちろん、弘法は筆をとか、統一がされてないといざという時に困るというのはわかるが http://t.co/NDWB7ZfAwN
— 尾野(しっぽ) (@tail_y) February 8, 2015
前に何か海外の記事で、非プログラマな上司が、プログラマが開発環境やアカウント名へのこだわりを分かっていない、というのを見たけども、日本でも結構重要な話だよね。開発環境にこだわるのは、彼が工夫と効率を求める人間だから。アカウント名を欲しがるのは彼が名誉と自尊心で駆動するから。
— 尾野(しっぽ) (@tail_y) February 8, 2015
これはプログラマーが当たり前に持っている文化やインセンティブを、非プログラマーが理解できていないし、その逆も然りだからなんじゃないかと思います。つまり、一旦、自分の文化を相対化して、解決策や妥協点を見つけていく必要があり、そういうときに役立つのが↑のような視点な気がします。
いろいろ変なこと考えてますが、修論も終わったのでプログラマーっぽい本や技術書も読みたいです。元々があまりそういう人間じゃない気もするんですが。